「いくら小泉首相でもここまでは・・・」       和気町立藤野小学校
     〜マレーシア・クアラルンプール編〜           教諭 安東 一郎

 世界でも第4番目の規模のマレイシアのクアラルンプール日本人学校。それだけ駐在邦人が多いことは言うまでもありません。その分日本人が住みやすい環境が整っています。 その1つに,ジャスコをはじめとする日本の大型デパートが立ち並んでいて,日常の生活に困ることはほとんどありません。そのデパートで遭遇した出来事です。

 ところで,読者の皆さんは,マレイシアの首相の名前はご存じですか。そうですね。マハティール首相です。私,赴任期間中の3年間で,この方に4回も会ったのです。それも,間近な距離で。また,出会った時も偶然で場所も日本では信じられない。1回目がジャスコ,2,3,4回目がISETAN(伊勢丹)です。

 1回目は赴任してまもなくで,ジャスコを家族と買い物をしている時,それといった護衛の人もなく,歩いている姿を見たのがそうでした。日本では,一国の首相がデパートなどを歩くときの様子はだいたい想像できますが,それからは想像できませんね。

 2回目がまた偶然。いつか忘れましたが,ISETANのスーパーマーケットで買い物中,マハティール首相も買い物をしているではありませんか。一緒にいる連れの人が買い物かごを持って。そして,レジに並んで財布からお金を出して支払いを済ませて,出て行くではありませんか。当然のことではありますが,日本では決して見ることのできないことですね。レジから出ると,多くの人が集まってくる中,愛想良く握手をしたり,写真を撮ったりしている姿にも驚きました。

 3回目です。シチュエーションは2回目と全く同じです。しかし,2回の経験を生かして,私は買い物をほったらかしてカメラ屋さんへ大急ぎ。そこでレンズ付きフィルム(いわゆる箱形の撮ったらそのまま現像に出せるカメラ)を買ってきたのです。そして,子どもを連れてマハティール首相の所へ行ったわけです。我々と一緒に写真を撮って欲しいと言うと,連れの人が止めるわけでもなく,快く笑顔で写真を撮らせてくれたのです。ほんと日本は信じられませんね。

 4回目も2,3回目と同じです。マハティール首相は,ISETANのスーパーマーケットが好きなんですね。家族とマハティール首相の姿を見ると「えっ,また来とん。」と,最初にあった新鮮さはないものの,またまた写真を撮る準備です。私は,すかさずカメラ屋さんへ行き,フィルム付きレンズを買ってきて,子どもと一緒に写真を撮らせてもらったわけです。 その時も3回目と同じで,笑顔で快く承知して下さり,写真を撮るときは,肩に手までかけてもらったわけです。

 日本では,首相が町中を歩こうものなら,たくさんの護衛が付き一般庶民とはかけ離れた存在であるかのように思われますが,そんなことをみじんも感じさせない人間性,お国柄に驚きと共に,すばらしさを感じたわけです。